特集コラム
2021/03/25

「今日からあなたも整備の“trico”」延長戦。JAL整備士による一問一答!【前編】

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昨年12月に開催したオンラインイベント、trico×JALエンジニアリングpresents「今日からあなたも整備の“trico”」に参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
時間の関係でいただいた質問にすべてお答えできなかったため、今回はエンジン整備センターの阿南さん、航空機整備センターの進藤さん、小林さん、廣海さん、部品サービスセンターの新原さんが一問一答形式でお答えします!

飛行機の部品は数万点!担当をローテーションしながら整備士は日々スキルを磨いています

ーー整備には専門領域のような区分はあるのでしょうか?たとえばエンジンと車輪とコンピューターシステムとでは全く内容が異なると思うのですが。

阿南:一言で「整備」といっても、航空機の出発・到着時に駐機場で行う運航整備のほか、格納庫で行う機体整備、取り降ろした部品を整備する装備品整備やエンジン整備もあります。飛行機に取り付いている状態で行う整備ではエンジン関係、電装関係などの専門分野があり、社内資格が分かれています。取り降ろして行う整備はさらに分解組立、試運転、検査、溶接、機械加工など、より専門に特化したスキル、資格を持つ整備士が整備を行っています。

新原部品整備についても、各課単位で専門領域が分かれており、整備できる品目が変わります。
 

ーー1度その業務に配属されるとずっとそのままなのですか?ローテーションはありますか?

新原:飛行機の部品は数万点あり、自分たちで整備している品目だけでも数千品目あります。ずっと1つの部品だけを担当することはありません。知識やスキルを向上させるには多くの経験が必要になるため、ローテーションしながら業務を行っています。異動先で訓練やOJTを実施して、整備できる範囲を広げています。
 

ーーすべての領域を統括する責任者のような役職はあるのでしょうか?その立場になるにはどのような経験や資格が必要になりますでしょうか?

進藤:国家資格(1等航空整備士、工場整備士)保有者のなかでも、社内で確認主任者として認定された人が、最終的に安全と判断し、書類にサインをします。機種ごとに認定があり、該当する機材の資格を取得するだけでなく、一程度の整備経験年数を重ねて、厳しい社内審査を通過する必要があります。

Toolの管理も徹底しています

ーー整備士さんの1日の仕事の流れを教えてください。

新原:部署によって勤務時間が異なっています。私が所属する部品サービスセンターや、阿南さんの所属するエンジン整備センターでは、基本的にカレンダー通りの常勤・日勤です。

阿南始業時には、体操やブリーフィングを行い業務開始となります。ブリーフィングでは各種情報共有のほか、その日の担当業務の確認を行いその後グループに分かれて作業の打ち合わせを行います。終業前には、整備工具(整備士の間ではToolと呼びます)や作業場を整理して、作業忘れがないか、Toolの紛失がないかなどをみんなで確認し、作業の進捗状況などを共有した後、業務終了となります。

進藤私が所属する航空機整備センターは、3交代制の勤務体制で、運航整備と機体整備の部署があります。始業時は、どちらの部署もほかのセンター同様、情報共有や各チームでの打ち合わせを行います。その後、運航整備では、空港に到着する航空機の飛行中のトラブル状況などを確認し、駐機場に航空機が到着したら、次のフライトまでにトラブルを修復し、エンジンオイルの補給やタイヤ交換などの整備を行います。機体整備は格納庫内で飛行機を整備する部署です。専門整備チームで定期点検の項目、エンジン交換、ランディングギア交換など、日により作業内容が変わります。終業前には、もちろんToolの紛失がないか、器材の返納はされているか確認し、次のシフト担当者へ作業内容の申し送りを行い業務が終了します。
 

ーー1機につき、何人くらいで整備をされているのでしょうか。

小林運航整備は例えばタイヤ交換に3人で30分ほど、格納庫で行う重整備は1シフト30人ほどで専門の整備士が担当しています。
 

ーー通常の整備は、平均どれくらいの時間がかかるのでしょうか?機材や便によって、時間も大きく変わってきますか?

進藤:運航整備は外観検査、エンジンにオイル補給などは1時間ほどで行います。重整備は基本的には2週間ほどですが整備深度によっては1カ月以上かかる場合もあります。

マニュアルに記載されていないトラブルも航空整備の醍醐味

ーー最も小さな部品と最も大きな部品は何ですか?

阿南:小さいネジですと顕微鏡でしか見ることのできない1mmほどのものから、大きいものはエンジンで、高さ4m以上、長さは8m以上あります。
 

ーー整備のときに気をつけていることや整備士の秘密が知りたいです。

新原:自分や仲間がケガをしないように気を配ることです。マニュアルに従った適切な整備を行うこと、周りの整備士と綿密にコミュニケーションを取ることです。

阿南まずはマニュアルに従って確実な作業を実施すること、それがお客さまや仲間の安全につながると考えています。直接お客さまと接することが少ない分、自分の作業の後にはお客さまが搭乗されるということを意識して業務にあたっています。

進藤整備士の秘密は、作業着のポケットにたくさんの秘密道具を持っていることです!
 

ーー飛行機の整備で難しく感じるような状況を教えてほしいです。また、整備の面白さとは何ですか?

新原今までに経験のないトラブルが発生したときに原因を突き止めることです。すべての対処方法がマニュアルに記載されているわけではないため、知識と経験を駆使して対応します。そんな苦労の末に原因を特定し修理を行い無事完了したときの達成感は大きいです。新機材導入の際には自社整備を行うべきか判断し、新規設備導入準備やメーカーでのトレーニングを受けて自分たちの修理能力を構築していきます。
 

ーー新しい機材が導入される際、整備チームはどのような準備や訓練をするのですか?

小林新しい機材を導入する時は製造メーカーに行き訓練しています。準備期間は、導入の1年前~1年半前に行います。
 

ーー搭乗者に、これだけは知っておいてほしいことはありますか?

阿南機内の窓はデリケートな材料でできておりますので、除菌シートで拭くのはご遠慮ください。私たちにとって大切で思い入れのある飛行機ばかりなので、機内の物を大切に扱っていただけると嬉しいです!

いかがでしたか?
今回はJALエンジニアリングの整備士に寄せられた質問の回答【前編】をご紹介しました。
次回は【後編】をお届けします♪どうぞお楽しみに!

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  • 当日は直接ご質問もさせていただきましたが、
    他にもお聞きしたいことがたくさんありましたので、
    こちらで教えていただき感謝致します✨

    普段の搭乗で接点があるのは、GSさん、CAさんなので、
    こうしてコミュニケーションが取れること、とても嬉しいです!
    伊丹のOASISでツナギ姿の社員さんを見かけた際は
    心の中で深々とお辞儀しております😂
  • 顕微鏡でしか見ることができない小さなネジは、巨大な航空機のどこに使われているのか気になって仕方ありません😆
  • 除菌シートが、
    ダメだったとは‼️‼️
  • 今日からあなたも整備のtricoに参加させて頂きましたが、更に追及して答えて頂き感謝です🙇
    作業着のポケットに秘密道具を持ってるなんて、ドラえもんですね😄
    後編も楽しみです。
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