先日JALの創立70周年を記念してJAL Facebookページで掲載した、先輩社員×後輩社員の対談。
第1回はグランドスタッフ編として、先輩社員で入社15年目の大本さんと後輩社員で入社3年目の正村さんに、コロナ禍による働き方の変化や仕事のやりがい、時代が変わっても入社当時から変わらない想いなどを聞きました。
今回はFacebookページに載せきれなかった対談内容をご紹介します!
── 大本さんが入社された当時は紙のマニュアルを使っていたそうですが、印象深いエピソードはありますか?
大本:今と比べると、カウンターにお越しいただくお客さまをお待たせしてしまうことが多かったように思います。紙のマニュアルや自分で作ったメモから必要な情報を探していたため、調べるだけで時間が必要でした。当時はカウンター付近でお客さまにお掛けいただく椅子もなかったため、発券カウンターでずっと立ってお待ちいただかなければならず、とても申し訳なく感じていました。
また、紙のマニュアルだと紛失するリスクもありましたが、今ではそういったこともなくなったなと思います。
正村:一番大変だったことは何ですか?
大本:当時は紙の航空券しかなかったため、航空券が汚れていたり折れていたりすると機械に入らず大変でした。そうした場合はマニュアル発券といって、航空券(金券)と引き換えで搭乗券に航空券の情報を印字してお渡ししていました。
正村:そのようなやり方だったことを知らなかったので新鮮です!今は機械化が進んで便利になったのだなと改めて実感しました。
── 機械化が進んだことによるメリットはありますか?
正村:タブレット型端末が導入されてお客さまをお待たせする時間が短くなったことが大きいと思います。お客さまからのご質問は、便の情報だけでなく空港施設に関するもの、目的地の情報などさまざまです。これまではその場でネットを使うことができなかったため、一度バックオフィスに戻り調べていました。今はタブレット型端末を使ってその場で何でも調べられるため、ご質問にすぐにお答えできるようになりました。
こうしたご案内は「コンシェルジュ」という業務ポジションの担当が主に担っていますが、ご自身でのお手続きを希望される方と、細やかなサポートを希望される方、それぞれのニーズに沿ったご案内ができるようになっています。
── お話の中に「コンシェルジュ」という言葉がありましたが、以前はそのようなポジションはあったのでしょうか。
大本:以前は「搭乗手続きカウンター」「発券カウンター」「手荷物カウンター」で各担当が分かれていました。私自身もカウンターには半年ほど入っていましたが、そのころはカウンターにいらっしゃったお客さまをご案内するという受け身のフローだったのです。
ロビーを自由に歩き、お困りのお客さまをご案内するスタッフは当時数名でしたが、スマートエアポート(※)が完成し「コンシェルジュ」という業務ポジションができた今、人数は倍以上まで増えています。「カウンター」ごとの業務ポジションがなくなった分、お困りのお客さまに対して自ら前に出て必要とされている情報をタブレット型端末を活用しながらご案内するという流れに変わりました。
※チェックインカウンターから搭乗ゲートに至るまでのデザイン、システムを一新すると共に、デジタル端末の活用によってヒューマンサービスを強化し、スムーズで快適な空港を目指す取り組み。
── ご案内が電子化されたメリットはほかにもありますか?
正村:搭乗口の変更や遅延情報などイレギュラー時のご案内ですね。今までは電話(オールコール)で情報が共有されていましたが、今はチャット機能で共有されるため、自分がどの場所にアサインされていても、常に最新の情報を把握してお客さまにご案内できるようになりました。
最新の情報をタイムリーにご案内できることが、お客さまにとっても私たちスタッフにとっても良かったなと思います。
── 機械化が進み便利になる一方で、お客さまと会話する機会は減ってしまうようにも思うのですが、そのなかで意識されていることはありますか?
大本:私はごあいさつをしたときのお客さまの反応を特に意識しています。
例えば「お疲れのようだから簡潔でスピーディにご説明したほうがいいな」と判断して、手短にご案内を終了することもあれば「ご不安な表情をされているから、疑問点をお伺いしてご案内をしよう」と、ゆっくりとご説明をすることもあります。
また機械の操作をされている時に手が止まっている方を見かけたら「何か困っていらっしゃるのかも」と思い、声をかけさせていただいています。お客さまの操作のスムーズさに気を配ることで的確なタイミングでご案内できるように意識しています。
正村:私は機械化が進んで便利になった分、ご高齢のお客さまなどから「私は機械が全然わからない」といったお声をいただくのですが、操作がわからない方には一緒に操作をするようにしています。
一度ご説明させていただくと「次回からは自分でできそう」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。またお子さま連れのお客さまにはベビーカーなどのご用意もあるスペシャルアシスタンスカウンターにご案内させていただくなど、そのお客さまにあわせたお手伝いを心がけています。
── 「お客さまに喜んでいただきたい」という想いで、グランドスタッフのアイデアから生まれた“季節ごとのメッセージタグ”ですが、どなたのアイデアがきっかけだったのでしょうか?
大本:お客さまへのサービスを考えるHS(Human service)チームでメッセージタグを作ろうと考えました。私はクリスマスとバレンタインのデザインをつくり、社内の確認を経てみんなでたくさん制作しました。JALの公式SNSにも投稿したところ温かなメッセージをたくさんいただき、嬉しい気持ちになりました。
正村:お客さまとの会話が弾むきっかけにもなりますよね。
私は入社する前の志望動機に「お客さま視点を貫いて寄り添えるグランドスタッフになりたい」という想いを書いていました。機械化が進むことでお客さまとの接点が減ってきていて会話も減ってはいますが、そのようななかでもお客さまから「JALっていいな」「安心するな」と思っていただけるように、自らお客さまのニーズに働きかけられるような接客をしたいと思いながら業務しています。
── これまでJALで働いてきたなかで、最も嬉しかったこと、もしくはやりがいを感じたことは何ですか?
大本:私は何よりお客さまから感謝のお言葉をいただけたことです。以前に、あるお客さまをご案内したときのエピソードなのですが、その方は腰痛をお持ちで空港から先への移動手段としてタクシーの利用をご提案しました。
お客さまは最初「大丈夫だよ」とおっしゃったのですが、やはりお辛そうなご様子であると思い「タクシーを電話で呼ぶのではなく、空港のタクシー乗り場で依頼して出入口にお付けすることもできますよ」とお話ししたところ「それでよろしく」というお言葉をいただきました。
お客さまが「大丈夫」とおっしゃるその言葉の真意が、本当に必要がないのか、それとも遠慮されているからなのか読み取り難い時もありますが、このお客さまの場合は“本当は必要なのではないか”と思ったのです。
先にほかのスタッフにタクシー乗り場に行ってもらい、すぐ呼べるような体制を整えたうえでお客さまにご提案をしたことで、お客さまをお待たせすることなくご退港いただくことができました。その連携も含めて「さすがJALだと思った、あの時のサービスは素晴らしかった」というお言葉をいただき、それがとても嬉しく思いました。
正村:そういった判断に至ったのは、大本さんが先輩方の姿から学んだことにも関係していますか?
大本:そうですね。「お客さまから受けたご要望をそのとおり対応する」ことは当たり前で、お客さまが期待される以上のことを追い求めて業務に取り組んでいた先輩方の姿は今の自分のサービスにも役立っていると思います。
正村:私にとって先輩方は所作の一つ一つがとても丁寧で憧れる存在です。“お客さまから受けたご要望だけではなくその期待以上のことをやる”ということを常に前提として働いている姿を見て、自分もそのようなグランドスタッフになりたいと思いました。
大本:後輩が先輩である自分たちの姿をきちんと見てくれていて、そのように思ってくれているのはとても嬉しいです!
正村さんがやりがいを感じたエピソードはありますか?
正村:私が入社して間もない頃に、お客さまが「私はJALが好きで、JALで行く毎年の旅行を楽しみにしている」というお話をしてくださったことがすごく嬉しかったです。旅行をするための交通手段としてだけではなくて「JALだから」ということでご利用いただき、旅の始まりと終わりもお客さまは大切にしてくださっているのだなということを実感したのが印象に残っています。JALに期待されている部分が多いのだなと感じたため、数ある航空会社の中でJALを選んでいただいたということに感謝の気持ちと、その気持ちを裏切らないような接客をしていきたいと改めて思いました。
大本:お客さまとの会話のなかでそのようなお話をされたのですか?
正村:そうです。スペシャルアシスタンスカウンターで、富士山の見える窓側の座席がよいというご要望を伺った際にお話が広がり「今日は私が毎年している旅の一つで、飛行機に乗る時はJALで富士山が見える座席で旅先へ向かうのが好き」というお話を伺いました。
大本:きっと正村さんがとても話しやすい雰囲気で、“この子に今後もJALのスタッフとして頑張ってほしい”と思っていただいたからこそ、かけてくださった言葉なのだと思います。明日からも頑張ろうと思えるきっかけになりますね!
── では、これまで働いてきたなかで大変だったことはありますか?
大本:以前、一時的に滑走路を閉鎖せざるを得なくなった際、いつ運航再開になるかわからないということがありました。何時にお客さまをご案内できるかという情報も定かではないなかで、すでに空港にお越しのお客さまへのご説明が必要でした。ですが、お客さまお一人お一人に最速で目的地にご到着いただける手段を検討し、大阪なら新幹線にご案内するなどして、その日一日をなんとか乗り越えられました。
── チームワークを発揮するうえで大切にしていることや意識していることはありますか?
正村:私は新入社員にOJT(教育)をすることになった際に、初日の顔合わせのタイミングで、もしわからなかったら一緒に考えて対応ができるように「何でも聞いてね」と声をかけるように意識しています。先輩に対しては、あいさつはもちろん、不測の事態が発生した際は積極的に情報を聞き、また同じ情報を共有したうえで業務を行うことを意識しています。
── 「コンシェルジュ」というポジションもでき、グランドスタッフは各自がそれぞれの持ち場についているため、すぐに会話ができない状況もあると思うのですが、そのなかで意識的にコミュニケーションや情報共有をされていることはありますか?
大本:以前は情報共有のミーティングを一つの場所に集まって行っていました。今は、オンライン会議機能を使って情報共有をしています。確かに直接顔を合わせる機会は減ったのですが、移動などですれ違った際には積極的に声をかけるように意識しています。
── ミーティングはどのくらいの頻度で行っているのですか?
大本:以前は、午後から勤務するシフトの際にブリーフィングと呼ばれるミーティングがありました。今は、1~2週間に1回ウェビナー形式のミーティングを行っています。内容は、新入社員の紹介や他部門の業務紹介、出向しているメンバーとの交流会などです。また、機内持ち込み、貨物室にお預けいただけない危険物についてクイズ形式で出題し、知識向上を図っています。ほかにもさまざまな取り組みを紹介していて、最近ではハロウィンイベントの一つとして、横断幕を使ったお見送りの取り組みについて紹介しました。
── そういったお見送りの取り組みも誰かが意見を出して行ったものですか?
大本:“こういったことをやりたい”という発言をしたスタッフを中心に企画して行っています。
── 社員として働いていてすごいなと思うJALの取り組みや、誇りに思っていることはありますか?
大本:東日本大震災の翌日から迅速に臨時便を運航して、陸路が寸断されお客さまが被災地に行くことができない状況下においても、約4カ月間で計2,723便運航したことです。私は福島県出身ということもあり被災地への想いが強く、JAL社員として被災地の復興に携われたことは誇りに思っています。
正村さんはいかがですか?
正村:私はJETくん(空港の遠隔操作アバターロボット)の操作をしたことがあるのですが、コロナ禍でお客さまが接触を控えられているなかでJETくんを通してお客さまと会話ができたことです。
お子さまは特に興味を持ってくださり、そこから会話がスムーズに始まったり、コロナ禍でも安心していただけたりと、離れた場所でも会話を楽しむことができたのがよかったです。
── 最後に、今後の目標について教えてください。
── ありがとうございました!
ご覧いただきありがとうございました。今回はグランドスタッフ編をご紹介しました。
次回はグランドハンドリングスタッフ編をご紹介しますので、どうぞお楽しみに!