歴史を知ると旅はもっと面白い。
正面の山は太閤ケ平（たいこうがなる）。ここには戦国時代最大の付城がある。陣を敷いたのは羽柴秀吉。織田毛利の最前線である鳥取城の攻略が目的であった。
野戦城攻めの時代は終わり、確実な勝利のために秀吉が取った作戦は経済封鎖と厳重な包囲網。「鳥取城かつえ殺し」と呼ばれる凄惨な籠城戦が展開された。
鳥取城のある久松山に登ると、周囲の地形が戦国時代の絵地図そのままであることに驚く。太閤ケ平までは直線距離にしてわずか1.3キロ。あの山に若き石田三成や黒田官兵衛を従えた羽柴秀吉が陣取り、鳥取城の食料が尽きるのを見つめていたのかと思うと、背筋が寒くなる思いだ。
400年の時を経て完璧に残る、秀吉が築いた大防衛ライン。戦国時代の戦略が肌で感じられる場所であった。
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