先日JALの創立70周年を記念してJAL Facebookページで掲載した、先輩社員×後輩社員の対談。
第2回はグランドハンドリングスタッフ編として、先輩社員で入社29年目の山内さんと後輩社員で入社4年目の岡本さんに、グランドハンドリング、通称“グラハン”の仕事への想いや今後の目標などを聞きました。
今回はFacebookページに載せきれなかった対談内容をご紹介します!
お手荷物や貨物の「搭載」、飛行機の「誘導」。JALの翼を支える“グラハン”の仕事とは。
── お二人のこれまでの経歴と今の仕事内容を教えてください。
岡本:私は2018年の9月に入社したので今年で4年目です。入社した時からずっと国際ランプ事業部に所属し、主に貨物・郵便やお手荷物が入ったコンテナなどを飛行機への搭載・取り降ろしをする作業を担当しています。最近は「パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ(搭乗橋)」の資格を取ったのでお客さまが乗り降りするドアの操作も行っています。
山内:私は1993年に入社して、入社してすぐは機体課に配属となり飛行機の機体外部の洗浄などを行っていました。
ところがどうしても「マーシャリング(駐機場での飛行機の誘導)」や「ロードマスター(搭降載業務の責任者)」をやってみたいと思っていた矢先、搭載課(現在はランプサービス課)に異動となり、成田で18年、羽田では5年ランプサービス課でロードマスター教官・政府専用機担当ロードマスター、安全品質部門を5年担当し現在に至っております。
ランプサービス担当業務は大きく分けるとお手荷物や貨物・郵便の「搭降載」と飛行機の「誘導」の2つです。ランプサービス担当は、岡本さんが行っている航空貨物・郵便の搬出入を担う仕事など、お客さまのお手荷物をはじめ、さまざまな積み荷の積み降ろしを行います。グランドハンドリングはフライトの安全と定時性を守る重要な役割を担っているんですよ。
岡本:今年は「パッセンジャーボーディングブリッジ操作」と「各機種エントリードア操作」の資格を集中的に取得しているのですが、それが終われば来年度は私がグラハンになるきっかけになった「マーシャリング」の資格取得に挑戦したいです。
── お二人の話にあがった「マーシャリング」は、具体的にどのようなことをしているのでしょうか?
山内:飛行機を安全にリードする「誘導」の業務には、主に「マーシャリング」「プッシュバック」「トーイング」の3つの作業があります。
着陸した飛行機は、自走して駐機場に入ってきます。このとき、飛行機の正面に立って通称“しゃもじ”と呼ばれるオレンジ色のパドルを振り、飛行機を停止位置に安全に誘導する業務が「マーシャリング」です。現在は、パドルではなくマーシャリングライトと呼ばれる赤いライトを使用して飛行機を誘導しています。マーシャリングは、到着機が入る駐機場両隣にも飛行機が停まっている場合があり、大きな翼を広げた到着機を的確に誘導するため、飛行機の進行方向、進入速度、旋回角度、停止のタイミングを判断し正確に停止線まで誘導する重要な作業です。
岡本:「マーシャリング」といえば、最近は電光掲示板「VDGS(駐機位置指示灯)」での誘導も増えてきていますよね。
── 「VDGS」とはどのようなものなのでしょうか?
山内:「VDGS」と呼ばれる電光掲示板は、赤外線などを用いて飛行機の位置を特定し電光表示部に所定の位置へ停止するまでの指示を出すことができるシステムです。近年は羽田空港や成田空港などの日本の主要空港では「VDGS」によって飛行機の駐機場への誘導が行われています。
ただ、やはり機械なので故障やシステムダウンの可能性もありますし、降雪時や霧の日は正常に飛行機を認識できないこともあるので、マーシャラーが必要な存在であることは今も昔も変わりません。
── お二人が仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
山内:はたから見ると私たちは毎日同じ仕事をしているように見えるかもしれませんが、一便一便のフライトは日々状況や内容が変わります。天候だけではなく、飛行機へ搭載するお手荷物・貨物・郵便の物量の変化により作業が変わってきます。まったく同じフライトというものはありません。
そのため「毎日違う仕事をやっている感覚で業務にあたる」ということをとても大切にしています。人間は慣れてくるとミスを起こしたことに気が付かないことがあります。1つのフライトには多くのスタッフが関わり、ランプ内では多くの車両が動いています。そのなかで事故やミスをゼロにするということは、そう容易いことではありません。いかにミスなく、安全・安心に、そして定刻どおりに飛行機を送り出すというゴールに向かって、私たちグラハンは、チーム一丸となって日々業務を行っています。
岡本:私は何事に対しても“知る”ということを大切にしています。
まずは自分自身のことをよく“知る”。私はマイナス思考になってしまったときにどうやったら自分の考え方をプラスに持っていけるかなど、自分をよく知り理解してうまくコントロールできるようになりたいなと思っています。
次に、相手をよく“知る”ということです。最近、新入社員が私の係にも配属されたのですが、教育をするときは「その子がどのような考えをもってその作業をしているのか」というところまで深く知るということを意識しています。考え方や性格も一人一人違うので、それによって教育の仕方も違うべきだと思うのです。
そして私もまだまだ知識の部分で足りないところがたくさんあるので、これからも業務について“知る”ことを頑張りたいです。グラハンの仕事は新しい業務を担当するためには資格取得が必要になるのですが、資格が業務ごとだけでなく機種ごとにもあるので、資格の数は100以上にもおよびます。資格を取るたびに担当できる仕事が増えるので、これからも“知る”という気持ちを大切に、資格の取得に積極的に挑戦して自分の業務の幅を広げていきたいです!
── お二人がこれまでJALで働いてきてやりがいを感じたエピソードを教えてください。
岡本:飛行機が出発するときに、パイロットに向けて出発して問題がないことを示す合図を送る「センダー業務」というものがあるのですが、その最後にお客さまへ手を振ってお見送りをしています。整備士と一緒に一列に並んで「いってらっしゃいませ。」という感謝の気持ちを持ってご挨拶をしています。私たちグラハンの仕事はお客さまと直接コミュニケーションをとる機会がなかなかないため、手を振り返してくださるお客さまの姿が見えたときはとても嬉しくやりがいを感じる瞬間です。
山内:悪天候などで遅れて入ってきた飛行機をできるだけ早く安全に出発させるため、各作業者の作業の進捗、搭載貨物・郵便・お手荷物の搬出状況、出発時刻までの残り時間を正確かつ迅速に見極め最適な判断をする、まさに“グランドハンドリングのプロ”として、安全・安心な定時運航に繋げられたときにやりがいを感じます。
安全運航と定時運航は、お客さまの安心と信頼を得るためにエアラインとして厳守すべき大切な約束です。そのため、定刻に飛行機を送り出し安全運航に対してどこまで自分の力を発揮できるのか、という点にこだわり抜いて仕事をすることはやりがいにつながります。
岡本:多くの知識と経験、どんな状況にも対応できる「ロードマスター」は私の目標です!そこに向けて日々努力していこうと思っています。
── ありがとうございました!
ご覧いただきありがとうございました。今回は「グランドハンドリングスタッフ編」をご紹介しました。
次回は「運航乗務員編」をご紹介しますので、どうぞお楽しみに!