仕事の裏側シリーズ第1弾です!今回は航空業界のなかで皆さんにとってもっとも身近な存在ともいえる客室乗務員の仕事の裏側をご紹介します。
この記事では入社7年目、客室乗務員として国内外を飛び回っている瀬沼さんに、一日の仕事の流れやサービスで心がけていること、業界特有の用語などを教えてもらいました!
ーー出社してから機内に乗り込むまでの流れを教えてください!
瀬沼:まずはロッカールームで制服に着替え、身だしなみを整えます。国内線の場合はフライトの1時間30〜45分前、国際線は離陸の2時間前が出社の時間と決まっているので、それまではフライトの準備をしたり、休憩室でご飯を食べたりして過ごすことが多いです。出社後は、同じ飛行機を担当する客室乗務員とブリーフィング(打ち合わせ)を行います。
ーー身支度にはどれくらいの時間がかかっているのでしょう……?
瀬沼:私は出社の1時間前に来て身支度をします。早い方だと30分くらいで済ませていますよ!髪をまとめるのは5〜10分。前髪は眉毛にかからないように、髪の長い人の髪型はシニヨンかフレンチロールできっちりと纏めます。
ーー髪型が決まっているのは驚きでした!ブリーフィングではどんなことを話すのですか?
瀬沼:サービスの方針や機体が揺れそうな場所の共有、安全確認、必携品の確認などです。最初に自己紹介もするのですが、その際は、「R1 瀬沼です」というように名前と一緒に、「ステーション」といわれる機内での担当ポジションも伝えます。
JALには約6,000人の客室乗務員がいて、フライトで同乗するメンバーは毎回同じとは限りません。初めて会う客室乗務員とも長い時間を一緒に過ごすことになるので、フライト前にお互いの顔と名前をしっかり覚えます!
ーー機内に移動したあとはどのような業務を行うのですか?
瀬沼:それぞれ自分が担当するポジションの安全確認を行います。キッチン担当の場合はお食事の数などをチェック、機内販売担当の場合は品物が揃っているかのチェックや決済端末の立ち上げを行います。
機長と副操縦士が乗り込んできたら、再度ブリーフィングでお互いに情報を共有します。
ーー航空業界特有の用語で、客室乗務員になるまで知らなかった言葉はありますか?
瀬沼:たくさんあります。航空業界特有とまでは言えませんが、よく使うのは、スケジュール通りという意味の「オンスケ(オン・スケジュール)」です。普段友人と待ち合わせをしているときにも「オンスケで着くよ」などと使ってしまい、「仕事みたいだね……」とびっくりされます(笑)。
「ラインアウト」もよく使いますね。これは初期訓練が終わった乗務員が初めてフライトに出ることをいいます。ブリーフィングでの自己紹介のときなどに「ラインアウトしてから2ヶ月が経ちました」と共有するときなどに使います。こちらはもしかしたら当社だけの言い回しかもしれません。
ーー客室乗務員になってから、ついしてしまう癖はありますか?
瀬沼:仕事以外でも、何かものを指し示すときに、指を揃えて手のひら全体を使って指してしまいます(笑)。これは友人から指摘されて気がつきました!
あとは、乗務外で飛行機に乗ったときも、呼び出し音が鳴るとつい反応してしまいます。
ーー機内でお客さまにサービスする際に心がけていることはありますか?
瀬沼:まずは、JALを選んでいただいたことへの感謝の気持ちを込めて、お会いするお客さま一人ひとりに対し、快適に、楽しく過ごしていただけるよう心がけています。
JALがもっとも大切にしているのはおもてなしの心です。
お客さまに空の旅を楽しんでいただけるよう、ミールサービスの際には、お食事の内容に合ったドリンクをご提案したり、目的地にある話題のお店の話をしたりと、私たちからも積極的にお声がけしています!
ーーこれまでのフライトでとくに印象に残っているお客さまはいますか?
瀬沼:羽田発ニューヨーク便のフライトで、韓国の金浦から羽田に来てニューヨークに向かわれるご旅程のお客さまがいらっしゃいました。金浦からもニューヨークへ向かう飛行機はあるのに、なぜ羽田経由なのだろうと思い、お伺いしてみると、結婚50周年記念の旅行で「どうしてもJALのファーストクラスに乗ってみたい」という理由で、羽田経由にしてくださったそうなんです。
その期待に応えたい、楽しんでいただきたいと心を込めてサービスをさせていただきました。到着前に感謝の気持ちを込めて「50周年おめでとうございます。ご搭乗ありがとうございました」とメッセージを添えたデザートプレートをお持ちしたのですが、奥さまが「JALを選んでよかった」と、とても喜んでくださって。
「お客さまと気持ちが通じるってこんなにうれしいことなんだな」と感動しました。
ーー客室乗務員になってからしてしまった大きな失敗があれば教えてください
瀬沼:ファーストクラスのキッチン担当していたときのことです。お客さまからのオーダーで、ミディアムレアのステーキを焼いていたのですが、焼いている途中でほかのオーダーが入りそちらのほうに専念していたらお肉のことをすっかり忘れてしまいました。オーブンを開けたら、真っ黒でかたくなったステーキが…….。
お客さまに事情を説明しお詫びをしました。その日はお肉のオーダーが少なかったので予備があったものの、再び焼く時間、お待たせしてしまうことを心苦しく思っていました。
……するとほかの乗務員が、お客さまにチーズをおすすめしたりワインのテイスティングを用意してくれたりと待ち時間を少しでも快適に過ごしていただけるような提案をしてくれていて。
無事にお肉が焼き上がってご提供したら、お客さまが「全然待った感じがしなかったよ。ありがとう」と言ってくださいました。
「私たちはチームで働いているんだな」とあらためて実感した出来事でしたね。
ーー客室乗務員として初めて空を飛んだときの感想を教えてください!
瀬沼:憧れていたJALの客室乗務員として、制服を着て機内にいられることがうれしくて、心のなかで、それまで応援してくれた家族や友人に向けて「夢が叶ったよ、ありがとう!」と思っていました!
初心を忘れず、これからも心を込めたおもてなしや、サービス向上に努めていきたいです。
今回は客室乗務員のお仕事の裏側をご紹介しました。
客室乗務員の存在を、さらに身近に感じていただけていたらうれしいです!
今後ほかの職種もご紹介していきたいと思っています。
知りたい職種や聞いてみたいことがあったら、ぜひコメント欄に投稿してくださいね♪